カップリングパーティー、フリータイムと自虐女性
シャンクレール新宿のお見合いパーティーに参加した。
流れはこうだ。
男女ペアになり1分だけ会話する。五秒前にアナウンスがある。
「5,4,3.2,1、はい会話を終了してください。それでは隣の席に移ってください」
そして、会話相手を変える。
これを20回程度繰り返す。めまぐるしく目の前にいる女性達が変わっていく。
かわいい、かわいくない、年上、声がきつい、こちらに興味がなさそう。
俺は次々に目の前の女性に評価を下していく。あちらも当然そうしてる。しかし、1分程度の会話で何がわかるというのか。
俺は20人程度の女性を次々と評価し、評価された。喉は渇き、頭は白くなり、汗がにじむ。
一通り終わってみると、俺は誰一人として顔も性格も覚えていないことに気づいた。相手の印象をメモするチェックシートには何の役に立つ情報もかかれていない。
「48.左」
などとしか書かれていないのだ。左とはなんだ。
すると、フリータイムなるものに突入した。
事前にシステムの説明を受けていたが、俺は勝手がわからずに固まった。「フリータイム開始です」アナウンスの女性の声が会場に響き渡り、男性陣は目当ての女性に飛びかかる。美しい女性の前には、獣と紙一重の風体をした男達がたむろしていた。
俺は出遅れたことを悟った。諦めた俺は水を注いだ。喉の前面と後面がひっつくくらい渇いいたのだ。いや、正確にいうと、手持ち無沙汰なのがばれないように水が欲しいふりをした。
水を飲みながら観察すると、フリータイムの残酷さが伺えた。余っている男性達の冴えない顔。そして、もっと残酷なのは孤独な女性だった。
基本的に女性は男性が来るのを待つシステムだ。ということは、男性がこなければ女性は一人でじっと座っていることになる。
美しい女性の前に並び立つ男性陣。
微妙な顔の女性が視線を落として耐えている姿。
神よ。。
俺は可哀想になってその女性の前に座った。
「ここよろしいですか?」
「どうぞ、私の前で休憩でもしていってください。疲れたでしょう」
と暗い顔でいう。自虐的な女性である。男は度胸。女は愛嬌。もっとニコニコしていれば結果は変わったかもしれない。婚活市場の残酷さ。20人以上男性がいて、誰一人この女性の前に座ろうとはしなかったのだ。いや、俺が座ったのか。
「この席って壁際だから目立たなくて安心できるんですよ。。。」
とまた自虐を女性は挟む。女は愛嬌。
少し会話をしているとすぐに席替えの時間がきた。俺は次のタームではこの女性の前に座る男がいることを願って、席を立った。
何度かフリータイムでの席替え、席取りゲームが挟まり、最後カップリング発表があった。
気に入った女性の名前を何組か書いて、相手女性も書いていれば見事カップリング。
「2番さんと25番さん、見事カップル成立で〜〜〜す」
というアナウンスが数回程度流れ、司会者は沈黙した。
誰も俺を選ばなかったことを知った。
20数人女性がいて、誰も俺を好みとは思わなかったのか。
20数回ぐるぐる会話して、20数回否定され続けただけだったのか。
はっはー。
ああ、そういえばあの自虐女性。僕は番号書きませんでした。もしかして、番号を書いたらカップリングするんじゃね?とふと思ったけど。それでも書きませんでした。そもそもその女性の番号控えてなかったしね。げに恐ろしき婚活市場よ。